桜が満開となる季節となりました。
冬の厳しい寒さが遠のき、外猫たちにとっては過ごしやすい季節の訪れです。しかし、これからは外猫の出産や飼い猫の出産に伴う遺棄などが起こる可能性が高くなる時期でもあります。ボランティアにとっては安心したのも束の間、悩みの増える季節でもあり、避妊去勢手術の実施や終生飼養についての啓発の必要性を改めて感じさせられる季節です。しかし、ボランティアお一人お一人の献身的なご活動によって、すこしずつ不幸な不幸な猫が減り、人々の心を動かし、共生社会の実現に近づいていくものと信じています。

繁忙の他、諸事情によりブログの更新が滞っていました。申し訳ありません。
これまで、餌やり行為そのものは決してそれ自体が違法ではなく、適正に行うことによって地域の環境の保全につながる公益性のある行為だということを繰り返し述べてきました。「餌を与える行為自体が迷惑行為である」という思い込みを少なくしていくことは、排除から共生へと転換していくためにとても重要なことです。しかし、ボランティアだけが必死に頑張っても、地域住民の共感を広げていくことが出来なければ、過酷な生活を強いられる不幸な猫たちの状況を大きく変えることや共生の意識を醸成していくことはできません。
今回から数回にわたって、実際にどのように地域猫活動を始めたらいいのか、ご一緒に考えたいと思います。

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【「適正管理」という考え方をしっかりと意識しよう】

以前、「地域猫の発達段階」について述べた。
 
 (レベル1) 餌やり     ⇒ 猫に癒される。猫が可哀そう。猫が可愛い。
 (レベル2) TNR     ⇒ 繁殖防止に有効。
 (レベル3) 適正管理    ⇒ 繁殖防止、餌の後始末、周辺清掃
 (レベル4) 外形的地域猫  ⇒ 地域の了解(町会長のハンコ)
 (レベル5) 共生の街づくり ⇒ 住民自治としての取り組み

めざすべき地域猫活動とは、もちろん、共生の街づくりである。地域猫活動とは街づくりだ。ボランティアだけがカリカリと必死になってやることではない。しかし、現実には多くのボランティアの活動は個人活動であり、グループの活動や地域としての取組みにまで発展しない。

個人的な活動をグループ活動へ、さらに地域の取組みとして発展させるためには、コンセプトを明確にすることが重要である。単に猫好きで餌を与えているのではないとしっかり説明できるものが必要なのだ。
そのコンセプトの基本は、レベル3以上の「適正管理」の考え方である。

適正管理とは、猫に避妊去勢をして、餌を適切に与え、周辺清掃などをしてトラブルを抑制するとともに不幸な猫を減らしていくことである。避妊去勢手術によって繁殖を防止することはもちろん、餌を与えるのもそれによってごみ漁りなどを防止し、避妊去勢手術を容易にし、匹数や1匹1匹の状態を確認するためである。周辺清掃は、糞尿被害の抑制はもちろん、環境美化に努めるためである。

そういうコンセプト(基本的な考え方)をボランティア自身がしっかりと意識し、説明できることが大切だ。決して後ろめたい活動をしているのではない、公益に叶う活動をしているのだということを行動だけでなく言葉で説明ができれば、理解者は表れやすい。猫のためでもあり、地域のためでもあるというコンセプトをもとに、一緒に行動できる仲間を一人でも多くみつけることが必要だ。

東京のあるボランティアの取組みをご紹介しよう。そのボランティアが活動を始めたのは、公営住宅や一般の民家、会社などが入り混じる街中の小さな公園だった。その公園には28匹の猫がいて、そのボランティアは歩道沿いの公園敷地で歩道に沿って28枚の皿を一列に並べ、猫に餌を与えていた。猫が食事をしている間は、皿の列の中央付近で歩道に向かって立ち、猫が食事をしている様子を見ていた。日中のことである。歩道の歩行者からみれば、猫が一列に並んで餌を食べている真ん中で女性が一人こちらに顔を向けて立っている。
不思議な光景に何人もの人がボランティアに声をかける。中には、「猫に餌をあげてはいけないだろう」と注意をする人もいる。そういう人たちにそのボランティアは「猫が増えないように不妊手術をして、1匹1匹を確認しながら餌を与え、餌を与えた後は後始末をしています。公園は隅々まで掃除しています」と説明した。すると、やがて「何をしているのか」の声が「お疲れ様」に変わり、カンパをしてくれる人も表れ、仲間も増えていったという。そのボランティアが歩道に向かって立ったのは、「コソコソと活動する必要はない。批判も苦情も同調の声も全て受けて立つ」という思いからだったという。

誰もがその真似をする必要はないが、しっかりとしたコンセプトをもって、それを説明するという姿勢には学ぶものがある。
活動をするにあたって、コンセプトを明確にするということは大切なことだ。それは、活動の目的を明らかにすることでもあり、賛同者を見い出すことでもある。これから個人の活動ではなく、地域猫をはじめようという人は、何のために活動をするのか、口に出して言ってみよう。頭の中ではわかっているなどとは言わず、紙などに箇条書きしてみればなおよい。それが第1歩だ。

(そのうちまたつづく)



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身を切るような寒さが続く真冬。道路の植え込みや公園の片隅に置かれることの多いのが外猫用の巣箱だ。段ボールや発泡スチロール製の箱に猫の出入り口となる穴をあけ、中には毛布。場合によっては温水の入ったペットボトル、使い捨てカイロが入れられていることもある。猫ハウスとも呼ばれている。

冬の寒さは外猫にとって大敵であり、多くの猫が体調を崩し、場合によっては死んでしまう。巣箱があれば、猫は冷たい雨風から逃れることができ、体調を維持しやすい。あるボランティアによると、巣箱があるのとないのとでは、野良猫にかかる医療費が各段に違うという。巣箱はそんなに暖かいのだろうか。猫ではなく、人間のホームレスに聞いた話であるが、段ボールで自分の体格に合わせた棺桶のような箱を作り、その中で寝ていると自分の体温で周りの空気が温まって、下着姿でも十分なくらい暖かいそうだ。その言葉から察すると、猫の巣箱はあまり大きなものではなく、猫が丸くなって丁度くらいの大きさのものが良さそうである。

地域猫や野良猫の適正管理は、猫の数を自然と少なくしていくことが目標の一つであるのだから、冬の寒さで猫が死んでいくのは自然であり、その方が早く猫の数が減っていいのではないかという意見を聞くことがある。しかし、その意見には頷けない。地域猫や適正管理の基本的な考え方のひとつは、避妊去勢手術により一代限りとなった生を全うさせてあげるということであって、凍えて死ねという考え方は、飢えて死ねという考え方とさほど違いがない。

しかし、この巣箱がまた、トラブルの原因となりやすい。道路管理者や公園管理者からすれば、無断で設置された巣箱は不法占用物件であり、撤去の対象だ。撤去しても翌日にはもう新しい巣箱が設置され、設置と撤去が繰り返される。許可を願い出ても、占用物件の設置には細かい規定があり、猫を巣箱の設置をストレートに許可できるような条文は、道路法にも都市公園法にも存在しない。公共の場所での巣箱の設置は、非常にハードルの高い問題だ。

とはいえ、実はその巣箱が公然と設置されている場所がいくつか見受けられる。中には脚のついた立派な木製の巣箱がずらりと並べられているような公園もある。行政が冬季限定で許可証を発行しているような公園もある。どうしてそんなことが認められるのか。それは、ボランティアと行政、地域住民の信頼関係の賜物なのだ。ボランティアが公共性のある活動をきちんとしており、トラブルを起こさないどころか、他のトラブルを未然に防いでくれる。そんな信頼関係があるところでは、誰も猫の巣箱に文句を言わない。いや、正確にはまれに苦情があっても、s私設管理者が取り合わないのである。そこまでの信頼関係を勝ち取るためには、何年もの地道な実績の積み重ねが必要だ。

実は猫の巣箱にも公益に資するところがある。冬場、民家の物置に猫が入り込むなどという苦情があるが、巣箱を設置することによって民家への侵入を抑止することが可能だ。また、猫の病気を蔓延の防止にも役立つし、個体管理にも役立つ。その近辺にトイレを置けば、周囲への糞害防止の効果は高い。問題は、行政や地域が容認するかどうかの問題である。
本当にそんなにうまくいくのか。逆に猫を招きよせて増やしてしまわないのか。公共の場所を私物化して猫を飼っているというだけのことに過ぎなくなるのではないのか。そういうことを言われないための実績と信頼が必要なのである。

地域猫活動の公益性が広く認められる時代が来たら、巣箱の公益性も認められ、たとえ公共の土地であったとしても管理上有益であるという理由で普通に設置が認められる時代がくると考えている。それまでの間は、民間の土地所有者に理解を求めるか、暗黙も含む行政の個別の了解に頼るしかないのが現状である。個別の了解や民間の土地所有者の理解を得るにしても、まずは、信頼される適正な管理を続けていくことしかない。

まっとうはボランティアであれば決してやらないだろうが、時々、古い段ボールの巣箱がボロボロになったまま片づけられることもなく、新しい巣箱が置かれているという現場を見ることがある。さらに、置き餌もされていて、非常に不衛生な状態となっている場所がある。そういう状態を見れば、たとえ猫嫌いでなくとも不快感を覚えるだろう。猫の巣箱の設置にも公益性という考えが必要で、美観、清潔を守ることは最低限必要だ。

* 巣箱については、sakkiさんのブログ「日々是ねこパト」に適正管理の参考となる非常に興味深いレポートがあるのでご紹介します。
 「猫ハウスの効能」 http://ameblo.jp/nekojarashi2828/entry-11420173965.html

(やがて続く日がくる)


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野良猫への餌の与え方で、最低限守ってほしいことは、新鮮な猫用の餌を与えること、容器にいれて与えること、容器の回収を含め餌の後始末をすること、そして、置き餌をしないことだ。
よく、深夜に餌をあげて早朝にトレイを回収するから大丈夫だとか、30分後に片づけにくるから置き餌はしていないとかおっしゃる方がおられるのが、たとえ10分でもその場を離れてしまうと立派な置き餌だ。
駐車違反の駐車とは「運転者がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態」だったり、自転車の放置が「利用者等が当該自転車等を離れて直ちに移動することができない状態」のことだったりするのと同じ理屈である。

「じゃあ何かい?アンタは猫が餌を食べている間、ずっとそばで突っ立って見ていろと言うのかい?」と反論される方もいらっしゃるが、その通り。餌を食べにくる猫の様子をちゃんと見て、猫の状態を把握してほしい。1匹1匹の食欲や食べ方などを見守ってあげてほしいのである。それが個体管理であり、餌やりとボランティアの異なる点だ。
特に異常がなく、食べている間が手持ち無沙汰だというのであれば、餌場近くの吸い殻やごみなどを清掃しているとなおよい。そういう姿を見て、文句を言う人は少数派であろう。

置き餌はなぜだめか。実は、マナー違反だとか、苦情がくるからというような表層的な問題のためだけではない。
置き餌がだめな本当の理由は、管理できない猫の存在を許してしまうためである。知らない猫が知らない間に餌を食べに来て、知らない間にそこで繁殖してしまうためだ。そうなると、何のために、適正管理だとか地域猫だとかいって高いお金を出して手術をしているのかわからない。手術は餌やりのための免罪符ではない。

一時的ではあるが、あえて置き餌をする場合もある。どんな場合か。
ねこの実態を把握するために、猫を一定の場所に集中させて管理を始めようとする場合。
近隣で被害が頻発している場合に、いい加減な餌やりをやめてもらい、猫に新しく定めた餌場をしつける場合。

つまり、置き餌は猫を集め、増やすための有効なテクニックなのである。
猫を増やしたければ置き餌をする。
猫を減らしたいのであれば、置き餌をしないで、餌場周辺の猫をきっちりと掌握する。
その違いは意識して理解しておく必要がある。
猫の不妊手術をして、きちんと餌場と猫の個体を管理していると、緩やかに猫の数が減っていく。

【猫だけじゃないケースもあるんだよねぇ】

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ある餌やり場。毎日置き餌がされているが、食べていたのは鳩。

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しかし、猫が完食したと思い込んで、鳩のための置き餌がくりかえされていた。


(おまけ)
ある餌場では、夜間に大量の置き餌が消費されていた。
一体、何匹の猫が餌を食べているのか調べてみると、餌を食べていたのは、近隣に定着するホームレスだったという笑えない話も。


(たぶん続く)


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野良猫に餌を与えている人は多い。
どうして野良猫に餌を与えるのか。

猫が可愛いから。
お腹を空かせてかわいそうだから。
ご飯をあげないと死んじゃうから。

猫のことを思ってのことであろうけれど、「猫を管理するために餌を与える」のが猫ボランティアである。
猫を適正に管理する上で、猫に餌を与えることは次のような意味がある。

(1) 猫の匹数の確認
(2) 個体管理(1匹ずつの健康状態等)
(3) 捕獲・避妊去勢手術につなぐ
(4) ごみ漁りの被害を抑制
(5) 身勝手な餌やり行為の抑止

餌を与えないようにすれば、猫がどこかに行ってしまうという人がよくいるが、与えなくなれば猫の姿が見えなくなるだけだ。猫は縄張りからなかなか出ていかない生き物である。そして、ごみを漁ったり、餌場を求めてさらに縄張りを広げるなど被害が拡大する。

実例がある。特段、猫好きでもなんでもなかった人の話であるが、ごみの収集日になると野良猫がカラス除けネットの中にうまく入り込み、ごみの袋を引っ張りだしてごみを漁っていた。すると、そこにカラスがやってきてさらにごみの散乱が広がる、ということを何度も経験していたそうだ。仕方なく、野良猫に餌を与えたら猫がごみ漁りをしなくなり、カラスもこなくなったそうだ。今では、ごみ漁りをしていた猫たちに手術をして、猫の匹数も減っているという。

野良猫による被害をなくそうと思えば、猫に避妊去勢手術をして繁殖を防止しなければならないけれど、餌を与えなければ、猫の数の把握もできないし、捕獲して手術することもできない。1匹1匹の状態の確認もできないのである。
つまり、猫ボランティアは単に猫の空腹を満たすためだけでなく、猫の管理をするために餌を与えている。

また、誰かがきちんと猫に食事を与えなければ、単に猫が可愛そうだというだけで餌を与える人が必ず現れる。特に、地域の反対が強いとそういう人たちは隠れて餌を与えるので、猫の実態把握ができなくなる。

餌は、決まった場所で、できるだけ決まった時間に与えるようにする。容器に入れて餌を与え、食べ終わるまで猫の様子を見守ってほしい。その間に、集まってきた猫の数や健康状態などを把握する。これを「見守り給餌」と呼ぶ。大阪のボランティアさんの命名だ。食べ終わったあとは、もちろんきれいに後始末をする。
猫は、餌をくれる「人」と「場所」と「時間」を記憶する。猫をちきんと躾すれば、給餌の時間は15分くらいで終わってしまう。
未手術の猫がいたら、その時に捕獲する。猫の捕獲をする場合、普段から餌を与えている人がいると格段に捕獲の成功率が高くなる。

野良猫被害を抑制するために餌を与えるなというのは逆で、野良猫を管理するためには、餌を与えて猫の状態を把握しなければならない。猫の状態を把握することによって、避妊去勢手術もできるし、トイレのしつけもできるのだ。

適正な給餌は適正な猫の管理の基本だ。地域の方には、適正な管理のために餌を与えることが不可欠なことであることをわかってほしいし、ボランティアの方には、単に猫の空腹を満たすためではなく、猫を管理するために餌を与えているということを意識してほしい。

(いつか続く)


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