地域猫活動には、発達段階がある。
一覧にすると、こうなる。

【地域猫活動の発達段階】 
 (レベル1) 餌やり       ⇒ 猫に癒される。猫が可哀そう。猫が可愛い。
 (レベル2) TNR        ⇒ 繁殖防止に有効。
 (レベル3) 適正管理     ⇒ 繁殖防止、餌の後始末、周辺清掃
 (レベル4) 外形的地域猫  ⇒ 地域の了解(町会長のハンコ)
 (レベル5) 共生の街づくり  ⇒ 住民自治としての取り組み


レベル2のTNRとは、Trap(捕獲)、Neuter(避妊去勢手術)、Return(元に戻す)ことで、猫の繁殖防止に有効な手段だ。発情しないからサカリの鳴き声もなくなるし、メスを奪い合ってのオス猫同士のケンカもほとんどなくなる。オス猫の場合は、おしっこのにおいが相当に薄くなる。

レベル3の適正管理とは、TNRを施して繁殖を防止しても元の猫はそのままいるので、一代限りとなった猫がトラブルの原因とならないように、時間を決めて餌を与え、糞尿対策や周辺の清掃を行うことである。個人レベルの活動が多いが、いわゆる「餌やり」とは違う。「TNR+適正管理」で、公益性はグンと高くなる。

レベル4は、町会長の同意があれば助成金を出すという制度を行政が行っている場合によくある話で、とりあえず町会長のハンコをもらったけれど、猫の世話はもっぱらボランティアがやっているという場合が多い。外形的地域猫と呼ぶ所以である。

レベル5は、地域住民全体で一代限りとなった猫を見守りながら、猫との共生を図ろうというレベル。ここまできてやっと、本当の地域猫だ。地域猫を提唱した黒沢獣医のいう地域猫とは、こういう共生の街づくりを指しているのではないかと思っている。

ここで注意しなければならないことは、TNRと適正管理、そして次の段階である地域猫は、別物だということだ。近年は、地域猫に関する制度を持っている自治体も増えたが、多くの自治体の制度が、この3つを混同しているのではないかと思う。
自治体の制度の多くは、避妊去勢手術費用を補助するというものだけど、その費用扶助を受けるために町会長の同意書を必要とするところが多くある。

しかし、避妊去勢手術費用の扶助だけであれば、それはTNRの段階の話なので、町会長の同意など関係ない。手術して繁殖を防止するだけのことなのだから(実は捕獲して手術するのが大変なわけではあるけれど)。
実態として、単にTNRのための費用を補助するだけなのに、町会長のハンコがいるというのは、何かのトラブルや苦情が生じたときに、地域の同意を得ていると行政が言い訳をするためにやっていることではないかと疑ってしまう。

環境省のガイドラインでも、「地域住民の合意のもと、それぞれの地域の実情に合わせたルールづくりが必要」と書かれているけれど、それはあくまで、地域猫活動のこと。TNRや適正管理の話ではない。行政は、TNRと適正管理、地域猫の違いをきちんと見定め、それぞれの段階に対応した啓発周知と制度の実施をしてほしい。
最近、yahooのニュースでも話題になった東京都千代田区では、適正管理をよびかけながらも、TNRに特化した補助金制度を実施して成果をあげている。町会長のハンコは不要である。

町会長のハンコが必要な制度を実施している自治体であれば、きちんと街全体で取り組みができるように、行政も粘り強く、共生の街づくりへの働きかけを続けてほしい。地域猫という高次元で理想的な活動を求めるなら、行政にも相当な覚悟が必要だ。
ハンコがあれば助成します、というだけではあまりにも安易であり、無駄な労力を費やすだけだ。

(いつか続く)


【ブログランキングに登録しました。よろしければ、クリックで応援をお願いします】