地域猫活動で、行政の取り組みが不十分であるといわれることが多い。
確かにその通りだ。行政からすれば、人も金も減らされている中、元々法律で決められた仕事でもないのに、これ以上、仕事を増やしたくないというのが本音だろう。
だから勢い、行政に対するボランティアからの非難が集中することがある。

しかし、ひとつ意識しなければならないのは、行政を非難するのは楽だし、ストレスの発散にもなるのだけれど、それだけでは何も変わらないということだ。なのに、一部の猫ボランティアには、自分たちはこれだけのことをしているんだから、行政も一般市民も、自分たちに協力して当たり前だという独善の気配がみられる。

極端な例であるが、ボランティアと行政の会議で「自分たちは自腹で猫の手術代も餌代も出しているのだから、後始末くらいは地域の人がやって当たり前だ」と発言した人がいた。また、「公園でボランティアが里親会をするのに、占用使用料がかかるのはおかしい」と文句をいった人もいた。理想を思い描くことは自由であるが、現実はまだまだ遠い。にも関わらず、そういう「一足飛びに超えてしまう人たち」が、猫ボラ全体の評価を損ねてしまう。

行政にもできることとできないことがある。「行政ができない分を、市民がここまでカバーできる。そうすればここまでのことができる」という現実的なアプローチが必要だし、そのアプローチが成功するためには、真摯な活動と実績にもとづいた、ボランティアと行政との信頼関係が不可欠である。地域猫の取り組みが進んでいる自治体には、必ず、その取り組みを支える優れたボランティアがついている。
ボランティアは圧力団体ではなく、行政のパートナーであり、行政の仕事が楽になるということをわかってもらうことが必要だ。
行政を一切批判してはならないということではない。ボランティアと行政がより良い関係を築くための現実を踏まえた問題提起であるならば批判も必要だ。批判と非難はそこが違う。

数年前のこと、ペット用品を販売しているメーカーの冊子の記事に、大阪・中之島公園の猫ボランティアが紹介されていた。ボランティアの代表が、「行政に対しては非難ではなく提案で協働すること。行政にできること、私たちにできることを持ち寄ればいい」と語っている。この言葉ほど、協働の本質を言い表した言葉は他にない。


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